Contaminated Rice-事故米問題  

事故米問題

 平成20年に、いわゆる事故米問題が大きな社会問題となりました。まず、消費者の方が知りたいのは、このような米が広く日本酒の業界で流通しているかという点だと思います。志太泉酒造の有する狭い範囲の常識ですが、そのような事はないと思われます。このような米の不正流通が存在するという話は、全くこの事件以前は、全く聞いた事もありませんでした。

 志太泉酒造の米仕入先は、米の仕入れ先は、以下の通りです。(平成22酒造年度実績) ①静岡県酒造組合 ②株式会社寺内 ③藤枝市朝比奈地区契約農家 ④兵庫県小野市ひまわり農産です。(①の静岡県酒造組合を通して、兵庫県、静岡県等のJAのお米を買うとことになります)、すべて事故米問題とは全く無縁でございます。

 念のため、記します。株式会社 志太泉酒造は、明治15年の創業以来、使用している原料米はすべて国内産米です。

 事故米不正転売事件に関わる以下の会社と過去において取引関係は一切ございません。三笠フーズ、双日、住友商事、ライスボーイ(青森市)、ライフクリエート・ケイ(胆沢郡金ケ崎町)、横手運送(横手市)、コーユ(酒田市)、宝澱粉化学(東京都港区)、島田化学工業(長岡市)、アグリフューチャー・じょうえつ(上越市)、沼田製粉(小矢部市)、浅井(名古屋市瑞穂区)、太田産業(宝飯郡小坂井町)、東伸製糊(御所市)、三喜精麦(大和高田市)、高畑精麦(善通寺市)、南海物産(松山市)、石垣農産(筑後市)、勝尾商店(鹿児島市)
 また平成22年7月に新たに事故米の不正流通があきらかになった甘糟損害貨物(横浜市)、協和精麦(伊勢原市)、石田物産(横浜市)、共伸商事(半田市)とも過去において取引関係は一切ございません。


米トレーサビリティ法と日本酒のラベル表示

 不正転売問題を契機に平成21年4月米トレーサビリティ法が制定されました。平成23年7月より、日本酒のラベルの米・米こうじに原材料表示に産地情報の記載が義務づけれます。消費者に対する情報開示が一歩進む事は評価すべき事であると思います。 (ラベル表示ではなくホームページにアクセスする事で産地情報が入手できる等の他の方法も認められていますが、現実的にはほとんどの蔵がラベル表示で対応すると推測されます、)

<具体的な表示方法 純米酒の場合>
現行 原材料 米、米こうじ → 平成22年7月より 原材料 米(国産) 米こうじ(国産米)
 この制度の実施により、今までは、消費者がわからなかった日本酒に使用された外国産米がラベル表示として表面化するか、あるいは外国産米から国産米への転換が進むと推測されます。(現状でも、中小規模の酒蔵で日本酒で外国産米が使用されていたというのは、ほとんどないと個人的に推定しています。もちろん外国産米の使用をすべてを否定することはできません。しかし、現実的に多くの場合外国産米は、原料価格の安さを追求するために使用されているでしょう。)

 ラベルの原材料表示は意外と面白い要素を含んでいます。例えば、米は(国産)なのになんで米こうじは(国産)でがわざわざ入っているのでしょうか?
 米こうじというのは、通常は蔵元が自ら造るものですが、乾燥麹と呼ばれる米こうじを、乾燥麹メーカーから買ってくる蔵元も中には存在します。仮に蔵元が、乾燥麹を使用し、乾燥麹メーカーが外国産米を使用した場合、加工地が日本であるなら、原材料表示として米こうじ(国産)という表示は認められかもしれません。しかし、米こうじ(国産米)という表示は虚偽になります。つまり米こうじ(国産)という表示を認めることは、一般的にはイメージの良くない外国産米使用の表示を避ける抜け道となります、そのため米こうじ(国産)のが必要となるのではと推測しています。

 また仮に静岡県藤枝市産の米を使用した場合、米(国産)、米(静岡県産)、米(藤枝市産)はどれでも可能です。(日本酒造組合のガイドラインのよれば、国産米の場合は、「国産」「国内産」のほか、都道府県名、市町村名や一般的に知られた地名、又は「日本国産」でもよい)ここでどの表示を選ぶかというところは、様々な蔵の事情が反映される事でしょう。