Process- 志太泉の酒造り  

酒造りの様子 志太泉は、手造りの工程が多い蔵です。手造りの良さは、情緒的なものではなく、製造工程の条件調整をフレキシブルに実行できることであり、その正確な判断のために、製造スタッフが人間の感覚を鋭敏にすることが大事です。そして意識的に微生物が一番志太泉らしい酒を作る生育条件を整えます。最終的に志太泉らしい酒を確実に製品化する事を目標としています。

洗米・浸漬 この工程においては、米の表面をきれいに洗浄し、かつ正確な目標水分を米に吸水にさせます。洗米方法は、純米大吟醸から特別本醸造クラスまで全く変わりません。約10キロずつ、塚本鉱吉商店製スパイラル吟洗号で洗米して、改造して水流を強くしたシャワーコンベアですすぎ、さらにホースですすぎます。すすいだ洗米をステンレスのかごに受けて、すべて状態を確認しながら吸水時間を決めて限定吸水します。普通酒は少し簡略化した方法です。

蒸米 和釜(わがま)を使用して、早朝4時から、お米を断熱性の優れた甑(こしき)に張り込み、430分からで蒸しはじめ、530分頃まで蒸します。外側が硬く、内側が軟らかく。一粒、一粒がぱらぱらしやすいさばけの良い蒸米を目指しています。

 すべて、箱麹法で造ります。麹室に引き込み後、麹菌(黒判もやしが主体)で種切り、切り返し、盛り、仲仕事、仕舞仕事、出麹と作業を進めます。製麹時間は、二昼夜半、適切な水分管理と温度管理を心掛けます。外見としては、突破精型(つきはぜがた)、香りがあり、雑味のない上質な甘味のある麹を目標としています。

酒母・醪(もろみ) 酒母は、速醸法で造ります。酵母は2本が明利酵母、残りすべては静岡県酵母(NO-2、NEW-5、HD-1)です。約2週間で優良な酵母を育てます。平成26酒造年度より、一部生酛での仕込みを行う予定です。もろみは、総米1トン以下の小さな仕込みがほとんどです。糖化と発酵のバランスをとりながら、米を溶かし過ぎないように、しかし、ソリッドなバランスの中にしっかり米の味わいが表現できるように低温で醪管理してゆっくりと造り上げます。

上槽 吟醸酒以上は佐瀬式の絞り機(酒袋での上槽)で上槽。その他のものをヤブタで上槽します。「酒造りは、米洗いに始まり、袋洗いに終わる。」という言葉がありますが、繊細な酒質が特徴である静岡の酒造りにおいて、上槽時にクセをつけない様に、より清潔な状態でお酒を絞るという基本がなによりも大事となります。

瓶詰・保存 炭素を使用して濾過すると、せっかくの酒の旨みが失われます。炭素濾過は、普通酒の一部を除き全廃されています。瓶詰時には、プレート式熱交換器を用いて火入れ殺菌した酒を急速に冷却して瓶詰されます。そのため、生酒らしいフレッシュさをできる限り保持した酒に仕上げます。瓶詰後は、蔵内の温度帯の違う3つの冷蔵庫で保存管理され出荷を待ちます。