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純米吟醸原酒八反35号原酒H21BY
広島県産八反35号 精米50% 静岡県酵母NEW-5 日本酒度+2.5 酸度1.3 アルコール分16-17度

少しナッツやベリー系のあるいはビターチョコレートのような感じのある酒です。常温でゆっくり飲むのにも適しています。平成23年4月のふじさわさんのお酒の会では一番人気でした。

純米吟醸原酒八反35号原酒H17BY
広島県産八反35号 精米50% 静岡県酵母NEW-5 日本酒度+5.0 酸度1.3 アルコール分16-17度

 イメージ的にはH16BYとかなり近いイメージの酒となりました。H17BYとH16BYを利き酒比較しましたが、あたりまえの事ですが、1年経過したH16BYの八反は甘味の拡がりや味の幅があるきれいな厚みが米の個性があります。また独特の酸が酒に清涼感をもたらしています。H17BY新酒は柑橘系とオーソッドクスな軽い酢酸イソアミル系吟醸香がミックスされたよう香りと、味的にもドライでソリッドな一種柑橘系のニュアンスのある味わいがあります。これがどちらが良いのかという事は、ポリシー次第ではないでしょうか?おそらく今年は、このお酒はかなり早い時期に完売しそうですが、熟成したお酒が好きな方は、少し余分に在庫した方がよさそうです。おそらくH17BYが熟成した場合は、H16BY以上の好結果は得られると思います。
 <製造サイドからの視点>
 今年は、粕歩合が極端に高いです

純米吟醸原酒八反35号原酒H16BY
広島県産八反35号 精米50% 静岡県酵母NEW-5 日本酒度+6.0 酸度1.25 アルコール分16-17度

 広島県の蔵の八反35号を用いた広島らしい酒も魅力的ですが、志太泉としては、違うタイプの酒を目指しております。昨年度までは、かなり酸を出して味的に力強さを目指しておりましたが、今年は静岡吟醸らしさを意識しました。おとなしく柑橘や香草のような落ち着いた吟醸香があります。第一印象はドライでソリッドに感じますが、独特の八反らしい米の個性が旨みというよりむしろ爽やかさに活かされています。酸度はかなり低いのですが、数字よりもはっきりとした酸があり官能的には酸度1.4位に感じます。
 <製造サイドからの視点>
 すべての酒を製造するにあたって、自然に意識する点は、昨年の同スペックの酒の印象です。昨年の酒をいかに再現するのか、あるいは、いかに変えていくのかという事です。今年は前述の通り変えてみました。もろみの経過温度について昨年度はあえてやや高めという意識がありましたが、今年は基本に忠実に低温経過させています。
<H16BYは酒の転換点>
 2010年時点で、H16BYがこの酒の大きな酒質の転換点となりました。この年は、千葉杜氏から田中杜氏への交代。きょうかい14号酵母から静岡県酵母NEW-5へをかえました。酒質でいえば、酸度の高い強烈な酒から、酸度の低い穏やかな静岡県型の酒への転換を図りました。これは意図したものでした。製造面からいうと志太泉が酸度が高い酒をつくるという事に限界を感じたこと、市場からするとH15BYまでの酒を静岡県内で販売するのは困難だと判断した事です。

純米吟醸原酒八反35号原酒H15BY
広島県産八反35号 精米50% きょうかい14号酵母 日本酒度+6.0 酸度1.7 アルコール分17-18度

 広島産の八反35号は生産量も少なく、造りも困難なため、全国的にも広島県の蔵以外では、あまり使われておりません。志太泉では1960年代に使われておりましたが、その後は、使用されておりませんでした。しかしH14BYより再び、山田錦の純米吟醸とは一線を画する酒として復活しました。広島産八反と静岡県流の酒造りと金沢酵母の使用は究極のミスマッチにも思えますが、広島型の八反純米吟醸とも静岡県型の純米吟醸とも異なる不思議な味わいを持つ酒です。
酸がやや高くまた酸の組成が通常の酒と異なります。まだずいぶん固い酒で味がそれぞれに主張しているという印象がありましたが、瓶詰後、時間の経過によって味につながりやまとまりが感じられるようになってきました。また温度を暖めると味わいも拡がります。

純米吟醸原酒八反35号原酒H14BY
広島県産八反35号 精米50% きょうかい14号酵母 日本酒度+6.0 酸度2.2 アルコール分18-19度

 山田錦の入手が非常に困難だった時代に志太泉の吟譲造りには八反35号を使用していたという話をずっと先代から聞かされて以来、八反という米の名前は記憶に残っていました。
 またずっと山田錦の優美な切れ味のある酒いわば日本刀みたいな酒に対して、棍棒とか鉈のような思い切りぶんなぐるような武器のようなイメージの野性味あふれる酒を一度は造りたいなと思っていました。こんなときに思い出したのが八反35号でした。
 しかし実際造ってみて、志太泉の水ではイメージより少しやわらかくなりましたが、力強さのある酒が出来ました。(酸は官能的には1.8か1.9ぐらいに感じます。)例えば焼きうどん、タンドリーチキンと常温で飲むと美味しいです。
 香りでは多少のカラメルっぽさと静岡系吟醸香とミックスされた感じ、味わいでは甘酸のバランスと酸でのキレの良さが特徴です。生の方がやや野性的かつ暴力的で火入れの方が落ち着きがあります。貯蔵すると良くなる酒という予想があります。

<熟成酒の感想>
 2005年7月にいちべえ志太泉の会でこの酒(H14BY2003年の仕込み)を約2年半ぶりに飲みました。新酒時のレビューにねかせてみたいとありましたが、念願の再会です。ということで冷で飲みましたが、やはりごつんとした感じがあります。それでお燗してみました。ひさしぶりの絶妙のお燗酒でした。酸が隠れ、米の旨みはふわっとした甘味と変り、八反35号ぽい余韻が残りました。