全国新酒鑑評会

 実に久しぶりに全国新酒鑑評会一般公開に行って来ました。公的な独立行政法人酒類総合研究所が主催し、毀誉褒貶はあるにせよ日本酒の世界で最大のコンテストである事は間違いありません。かつては、東京都の滝野川で開催されておりましたが、酒類総合研究所(当時は醸造試験所と呼ばれていたと思います)の移転に伴い、現在は東広島市で開催しております。
 少なくとも、この一般公開の利き酒はぜひともいかなければ思いつつも、東広島はあまりにも遠くここ5年ぐらいご無沙汰しておりました。今年は張り切って行って来ました。
 会場では、すべての出品酒約1050点の製造技術研究会場と約500点の利き酒が出来る公開きき酒会会場に分かれています。前回参加した時は全点の利き酒に挑戦して600点以降は意識朦朧として単なる意地だけで利き酒を継続し記憶も不確かでその後2日くらい寝込んだという反省(私はお酒が弱い)から今回は金賞酒と入賞酒にしぼって利き酒しました。ただし、この方法には重大な欠陥があります。入賞しない酒の中に実は素晴らしいお酒が隠されている事があり、それを発見する機会を自ら放棄する事になるからです。しかし、二兎は追えません。今回は金賞、入賞にしぼって約400点程度を利き酒しました。
 まずその方法ですが、一番特徴的なのは、直接ききちょこから利き酒をするのではなくスポイトでききちょこから手持ちのカップに受けそれを利き酒する事です。はじめては少し戸惑いますがすぐなれます。お酒は地域ごと(税務署の管轄ごと)順番にならべてあります。
 まず、一番空いていた札幌局から利き酒を開始しました。いちばん最初のイメージはやはりカプロン酸エチル強しというイメージを受けました。とりあえずはじめは、利き酒用冊子(便利ものを頂けてとても助かりました)にカプとかCAPという暗号を書いていましたが、ほとんどそうなので特に高いものだけをチェックするようにしました。毎年参加していれば、香りの強さの傾向もわかりますが、時系列的な香りの強さの比較はわかりません。但し、個人的にはもっと極端な香水のような酒が並んでいるいうイメージがありましたので、予想よりは、香りが低いという印象を受けました。味的には、意外と淡麗な酒が健闘していた印象があります。
 利き酒が進むにつれ、県ごとの特徴の違いも興味深い点です。秋田県は山田錦以外の米に力点を置いています。(山田錦以外の酒は1、山田錦2と冊子に表示されています)。個人的には利き酒能力不足のためどのような酒が山田錦以外の米で造った酒として米の個性を表現しかつ高評価を与えられのかは判然としませんでした。
 灘、伏見の酒は、全般的にきれいで香りがあり金賞酒としては非常にレベルが高いですが、酒ごとの差異が少ない印象がありました。
 最も印象に残ったのは、ごくわずかにほとんどカプロン酸系吟醸香がないにもかかわらず、その味の絶妙のバランスだけで入賞にまで持ち込んでいる蔵があった事です。利き酒していて良い意味で異質に感じました。
 ごくわずかですが、これが金賞酒という疑問に残る酒もありました。公開酒は常温で保存されていますので素晴らしいお酒も変化したのでしょう。

独立行政法人酒類総合研究所による公式コメントはhttp://www.nrib.go.jp/kan/H15/pdf/H15YB_report.pdf

 

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