静岡県酒造組合静酉会での酒蔵見学

 まず初めに、今回の宮城県北部地震の被災地、被災蔵が一日も早く復旧されるよう祈念しております。

 まず静岡県酒造組合静酉会とは、静岡県の蔵元の若手の有志団体です。一年に一回、各地の蔵元を見学する事で自分たちの酒造りと比較したり、仕事に関する意見交換をしたりしています。今年は宮城県の蔵元に見学に行ってまいりました。
 7月22日お昼に仙台に到着した印象はまず寒い事です。気温18度ぐらいです。JR東北線で大河原までもどり、タクシーで村田町まで15分ほど、古い蔵が立ち並ぶ町並みの中で、レトロな「乾坤一」の看板が目印の「乾坤一・大沼酒造店」様を見学させていただきました。大沼氏に宮城県の県を上げての純米酒への取り組みの話を伺いました。宮城県産米を多いに利用しておられ、中でもササニシキ等が多いため吸水等が非常にシビアという事です。実際、五百万石は、結構吸水がゆっくりしてやりやすいし、山田錦の少し吸水歩合が多く蒸しが柔らかくても、こうじで乾かす事ができるこのに比較すると、飯米系は、少し長くても吸水過多になってしまうため、酒造好適米よりかえって酒造りは難しいかもしれません。利き酒させていただいて酒もどれも素晴らしいお酒に仕上がっておりました。
 夜は、仙台にて宮城県醸和会と懇親会。宮城県と静岡県は県内の自醸蔵も約30蔵程度、元気のある小さな蔵も多いという共通点もあります。参考になる話も多く充実した時間でした。そのとき味わった宮城県の酒は、極端なカプロン酸エチルのある派手な酒より、落ち着いて飲める適度な吟醸香とおちついた味わいを求める酒が多く、宮城県酵母に高香気性酵母もあるようですが、それほど鑑評会用以外にはそれほど多くは使用されていないような印象を受けました。
 翌日は、仙石線で石巻へ、終着駅の石巻が石ノ森章太郎の故郷に石巻が近いという事で電車が石ノ森章太郎氏のデザイン満載となっていました。石巻駅から歩いて「墨廻江酒造」様へ、多忙中にもかかわらず澤口社長に案内していただきました。場内に鳥居があり驚きました。こうじ造りででの独自設計の素晴らしい工夫がなされていました。
 さらに石巻で「日高見・平考商店」様へ造りの素晴らしさももちろん、瓶詰めにも工夫がなされており、早めの熱交換器による急冷火入れからサーマルタンクへの低温貯蔵により、お酒が極めて良い状態で貯蔵されております。利き酒させていただいたお酒もスマートでフレッシュ自然に杯が進みような酒でした。
 宮城県と静岡県を比較すると温湿度の圧倒的な違いから、静岡県は蒸米の放冷に苦労するに比べ、宮城県は出麹後のからしに苦労するように感じました。
 昼食は、塩竈の「亀喜寿司」でほやとおいしい寿司を食べてきました。鮮度が抜群に良く、洗練された美しさのあるお寿司でした。

 最後に今回の旅行を通じてお世話になりました、宮城県の各蔵元様には、この場を借りまして改めて御礼申し上げます。

Homeへもどる