酒屋さんを訪ねて 第1回 
有限会社 ときわストア
静岡県志太郡岡部町村良484−2
TEL 054-667-2395
FAX 054-667-0635
【正面から】 【亀がかわいい看板】
 ときわストアの後藤氏は、地酒にこだわる酒販店の若主人である。決して都会とはいえない岡部町で地酒に取り組むのは決して容易な事ではないであろう。今回後藤氏へのインタビューを通して、彼の地酒論を語っていただいた。

■後藤氏へのインタビュー(G ときわストア後藤 M 志太泉望月)

M:月並みな質問ですが、日本酒との最初の出会いは?
G:大学時代コンパで飲まされた酒です。
M:その時の日本酒の印象は?
G:まずかったというのが正直な感想です。
M:その印象がなにか変わるきっかけがあったのですか?
G:大学時代の先生が四国の無名の蔵の大吟醸を飲ませてくれたのですが、この酒はいままでに飲んだ事のない心を揺さぶるような酒でした。この酒が日本酒への認識を変えさせました。
後藤さんは、大学卒業後、民間企業への就職を経て酒屋さんになったのですが
M:後藤さんは人文学部出身で教員免許も取得されているので、いわゆる仕事としては、教員になるのが一般的ですが、職業として酒屋になるというのは迷いはなかったのですか?
G:子供を教えるというのはいうまでもなく非常に重要でかつ難しい仕事ですが、日本酒を通してのその良さを伝える仕事っていうのもやりがいのある仕事という意識があったので迷いはありませんでした。
こうして酒屋さんになられたのが10数年前、一般的には吟醸酒や地酒に対する意識もまだまだ薄い頃でした。
M:それこそ酒屋さんとして始められた頃はどんな状況だったのですか?G:当時は、まだまだ、灘・伏見のナショナルブランドの酒に比較して、地酒が不当に低く評価されていました。その状況をなんとか打破していこうとしたわけです。
M:結構大変じゃないですか?どのあたりから始めていったのですか?
G:幸いな事に、応援してくれる先輩等の人間関係に恵まれていましたので大変って感じはなかったです。品質本位の地酒蔵がある県ですので、そこでは、がんばっている良い売り手、地酒を理解している飲み手もありました。そのあたりをまず自分が学んでいく所から始めていきました。
M:最近では試飲会も開催されているようですが?
G:いろんなテーマを決めて開催しています。この間は米ごとに飲み比べたり、同じ米でいろんな蔵を比較したりいろいろな事に挑戦しています。

緊急予告 11月23日試飲会の予定があるようです。詳細はまたお知らせします。

地元岡部はどんなところ。気になる初亀は?
M:ときわストアさんがある岡部っていうのは、どんな場所ですか?
G:人口も非常に少ないし、よい地酒がありながらどうしても一般の人には見過ごされてる面はあります。
M:そんな中での打開策は?
G:とりあえず地酒のちょっとグレードの高い吟醸あたりの、一般の人でも美味さの違いがわかりやすいところから試飲させていく、するとこれは今まで飲んでいた酒と違うぞという話になっていきます。また、地酒が雑誌に取り上げられたした記事なんかを使って、マスコミもうまく使っていくのも一つの方法でした。
M:岡部というと初亀ですが、初亀の魅力はどのあたりですか?
G:一言でいうときれいなお酒であるという事と品質的に非常に安定感がある所です。何年か前にお米の品質が悪い年がありましたが、そんな年も杜氏さんの技術でカバーし上質の酒が出来て安心して販売する事ができました。
M:初亀の中であえてお奨めをあげるとどのあたりですか?
G:「亀印吟醸」はコストパフォーマンスとお客様の満足度の高い酒です。また「縁」も五百万石を使用しさっぱりして飲み口が良いです。
M:おいしい地酒蔵のある町には、旨い地酒と料理が楽しめるところがありそうですが?
G:岡部の町民センターのところに「ちゃぼ」っていう居酒屋があるんですけど、初亀をはじめ喜久酔、杉錦、志太泉など地酒も揃いしかもリーズナブルに飲めます。地酒と相性のよい料理が楽しめます。特に刺身も焼津の人が本場焼津より旨いし、安く食べれるっていう評判の店です。
M:志太泉はどの酒が飲めますか?
G:味がありながらすっきりとしたキレのある「吟醸酒の本生」が飲めます。あと逆にボディのある「本醸造原酒 蔵出しいちばん」も飲みごたえがあって面白い存在です。
【お奨めのお酒は?】 【店内には志太泉の前掛けが】
地元以外はどんなお酒が?
M:静岡以外では、どんなお酒がありますか?
G:島根の「天界」があります。
M:静岡県内ではめずらしいですね。
G:県内の取扱店は二店です。店の個性を出すには良い酒だと思っています。
M:どんなところが魅力ですか?
G:静岡の酒とは対象的に味があるタイプの酒です。米の品種の個性が酒に反映されているところや、コストパフォーマンスの高さです。
M:評判はどうですか?
G:五百万石の50%の純米吟醸しか飲まないファンもいるくらいです。
M:蔵元としては、(そういうファンの存在は)うらやましいですね。
G:もう一つ「美丈夫」もあります。
M:高知の酒ですね。
G:特徴は、酸が良い意味で高いことと、含んだ後の香りの変化がおもしろいです。
(二名で裏張りを確認、酵母はKA-1が主体です)
M:純米系のラインアップが多いですね。
G:個人的には、本醸造系のアルコール添加のぴりっとした感じにはどうしても違和感を感じます。純米酒を飲んだとき米の味がダイレクトに感じられるのはとても魅力的です。
M:好みの米はあるのですか?
G:一般的には五百万石がよいと思いますが、山田錦のキレも好きですし、愛山はすごいと思います。新しい米ですが雄山錦も五百万石に比べて味の拡がりが感じられます。
M:志太泉でも雄山錦は今年は少し使う予定です。
【手軽な300MLのラインナップ】 【冷蔵庫に志太泉発見】
M:一応、志太泉のサイトですので、お世辞で結構ですので志太泉の魅力を語って下さい。
G:高橋杜氏が純米系が得意という事で純米系には魅力を感じます。吟醸系の品質にも安定感があります。
M:ありがとうございます。志太泉の中でのお奨めは?
G:特別本醸造も良いですが、当店では、「吟醸の生酒」をお奨めしています。(注 ときわストアには一切火入れをしないやや熟成タイプが出荷されています。)また最近では、「普通酒」も甘いだけの酒とは一線を画し浸透しつつあります。

M:最後にお店のPRをお願いします。
G:人と人のコミュニーケーションを大事にする店です。
M:具体的には?
G:例えば、お酒とお料理の組み合わせなどを地酒を通してお客様(奥様方)と話したりするのは楽しい仕事ですよ。

P.S 今回は地元で楽しい取材をしてきました。2回目の酒販店を訪ねては静岡県外の酒販店で来年夏を予定しています。
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